
After-party
「おや、お目覚めかな、お姫様」
なんとなく聞き覚えのある声がどこからか聞こえてきて、薄っすらと目をあける。
霞がかったように遠い視界のその先に、見知った人物がいた。
「……た、いさ……?」
「おはよう、鋼の」
自分を見下ろしながら優しく微笑む、男の姿。少しだけ思考を逡巡させてから、ああ、と認識する。大佐だ、ロイ・マスタング大佐。つい先日、自分の上官となった大人のヒトだ。
「は、よ……」
とりあえず返事をしてみたが、なにやら舌がうまく動かなかった、少し痺れている気もする。
「なかなか起きなくて心配したよ、気分はどうだい」
「ん……きぶん……?」
瞼の上は暗いが、おはようと言われたということは朝だろうか。なんだか思考がぼーっとする。
頭も、やけにガンガンしている。なんでこんなに痛いんだと手を伸ばそうとしても、どうしてか腕が上がらなかった。腕だけじゃない、体全体が重かった。まるで何かに圧し掛かられているような感じだ。
「……おも、い」
「重い?」
「……から、だが、おもく、て」
「そうか、それはよかった」
しかも痛いだけではなく、頭がぐわんぐわんと回って気持ちが悪い。誰かに思い切り頭を揺さぶられ、脳みそがシェイクされているみたいに。目の前にある大佐の顔が、何度何度もぶれて……そう、ぶれている。ゆっくりと瞬きをしてみるが、やはり上官の顔は縦に揺れている。なんだ、なんで大佐の顔が。地震か?
「気分が悪いところ悪いんだがね、鋼の」
こんなに世界が揺れているのに、困ったように眉を下げた上官は普段となんら変わらない。
重い瞼をできうる範囲でしっかりと上げてみても、天上はやはり薄暗かった。電気はついているだろうが、なんだか少しじめっとしている。ここはどこだ。辺りを見回そうと首を動かしたが、こめかみ付近がずきんと痛んで首を振ることもできなかった。
今更ながらに気づく。自分の身体のいたるところが、絶不調だということに。
「もう少し締めてくれるかな?緩くなってきた」
「え……」
絞めるってなに。不可思議な言葉にぱちりと瞬きをする。
にこっと目尻を下げた上官が、より一層大きく縦に揺れた。
「──んん、ぁッ……!?」
ぐううんと、腹の奥が苦しくなって一瞬にして淀んでいた思考が弾けた。
「……え?……ぃ」
圧迫感は一度だけではなかった。何とも言えない衝撃が波のように次々と襲い掛かってきた。腹が膨れ、引き攣るような奇妙な感覚だ。痛いとも、苦しいとも言えるが、一番しっくりくる言葉は気持ちが悪い。しかも、発生元は腹よりももっと下の、下腹部のようだった。
「なに え、な……」
何かが起こっている。今直ぐに確認したい。だけど酷い頭痛のせいで頭が動かせない。
『大佐、今オレどうなってんの』と、明確な言葉を発しようとしたが、やはり呂律もうまくまわらなかった。混乱していると、慣れてきた視界の両端にぐらぐらと揺れる小さな足が見えた。よく見ると自分の足だ。生身の右脚と、機械鎧の左脚。むき出しだ。ということは、今自分はズボンを履いていないということになる。どうりで寒いと思った。しかも、その両足首を誰かが掴んでいた。ごつくて大きな手だ。力を込めてもびくともしない。大佐の手ではない。じゃあ誰のだ?
「鋼の、はやく腹に力を入れてくれ」
「え……ぇ、……え?」
上官の顔、いや大佐の上半身が縦に揺れる動きに合わせて、今度はぐちゅん、じゅぷっ、ちゅぷ、と、やけに水っぽい音が断続的に聞こえてくる。下のほうから。
さらに、音に合わせてぐつぐつと下半身に響く鈍痛。そこでやっと気づいた。
腹の中が、何かにかき回されている。
一気に血の気が引いた。さーっと降りていく血液を追いかけるように、なんとかして視線を下げる。
「な、なに、が、え……!?」
「おっと」
「おーい大将、暴れると危ないぞ」
「ッえっ……」
視界の外、頭上から聞こえてきた声の主に構っている余裕はなかった。
ただ目を見開き、眼前で行われている事態に慄くだけで精一杯で。
「……やあぁああ……!?」
目の前に広がる衝撃の光景に、頭痛も舌の痺れもだるさも忘れた。
大きく広げられていたのは、やはり自分の両脚だった。しかも広げられた脚の中心、股の部分に何か得体のしれないものが突き刺さっている。まさに串刺し、鈍痛の正体はこれだ。太いそれは、エドワードの中の肉をごりごりと味わっては勢いよく引き抜かれ、ぶちゅんと空気を潰す音を奏でながらまた中に埋まっていった。何度も何度も、繰り返し。しかも下半身だけじゃない、上も裸だった。
「え、な、うそぉ、だ、やァっ」
引き抜かれていく合間に覗いたそれは、ぬらぬらと濡れそぼって赤黒かった。自分の僅かに生えた金色の茂みに散っている赤いものはなんだ、血か。ここまで来たらもう、エドワードにもわかってしまった。自分の身に起きている事態が何であるかということに。信じがたいことに、エドワードは今、男性器を、膣内に挿入されていた。
──紛れもなく、強姦されている。
しかも、エドワードを犯している人物は他でもなく。
「たい、たいひゃ!やめ、ろッ……ぁう──ッ」
「たいひゃって」
「嫌だといわれて、止める男はいないよ鋼の」
「あっ……かはッ」
ぐんっと腹を突き破る勢いで激しく挿入され、また大きく視界が揺れた。
と、もう一つの顔がひょっこり頭上から現れた。特徴的な金色の髪形に、青い瞳。誰だ、と混乱したのは一瞬だけだ。何度か見たことのある顔、そうだ、ハボック少尉だ。マスタング大佐の部下の一人である男で、軍に入ったばかりのエドワードにもよくしてくれている人だ。この前だって、忙しい時間を縫って軍の中を案内してくれた。食堂で一緒に食べたランチが、思いのほか美味しかった。ふっと微笑んでくれた男に大きく安堵する。よかった。
「しょっ、ぅい」
「んー?」
助けて、と叫ぼうとしてはっと気づいた。両脚首に巻き付いた大きな手のひらに嫌な予感がして、目線で追いかける。行き着いた先は、他でもないハボック少尉の肩だった──まさか。
「……ひ」
「やっと俺にも気づいたかー」
よう大将、と。にっと歯を剥き出しにして笑うハボック少尉を、信じられない面持ちで見上げる。エドワードの足を掴んで大きく開かせていたのは、まぎれもなく彼だった。
そう、エドワードは全裸にされた挙句、ハボック少尉に足を開かされ、マスタング大佐にレイプされていた。
「え、ぁ゛、な、んで……っ」
「なんでって言われても困るなあ」
「そうだな、軍属になった洗礼だと思えばいい」
「そうそう」
「それはそうと、さっきから言っているんだがもっと絞めてくれ」
「な、な、にっ──ぁあ゛っ」
なぜ、どうして今自分は上官に犯されているのか。軍属になった洗礼?わけのわからぬ台詞に混乱しても、エドワードの困惑に答えてくれる人は誰もいなかった。悲鳴を黙殺され、ずぶり、と太い切っ先を胎内に推し進められる。
容赦なく内部を広げてくる大きな男性器の存在感に、エドワードは仰け反った。
「あっあ───っ、ぃ、いやらッ、や!あぁ、う」
膣の中で、生き物のように狭い内壁をかき分けてくるそれが、縦横無尽に暴れまわる。今まで味わったことのないような感覚を叩きつけられて、エドワードは髪を振り乱してただ喚くことしかできなかった。
「あ、ァあッいやああああ──ッ」
腰をくねらして逃げようともがくエドワードをハボック少尉が覗き込んでくる。
その表情は、エドワードから見ても赤らんでいるようだった。
犯されている自分を見ながら、興奮している?そんな、嘘だ。
「うっわ、すっげえ叫び声……」
「ひや、ぁッ、いやあ」
「安心しなさい、輪し尽くしたら帰してあげるからね」
ぐんっぐんっと、断続的に広げられる入口がじんじんと痛む。なんとか力を込めて押し出そうとしても、いつものように力が出ない。それどころか込めようとすればするほど、身体からどんどんと力が抜けていく。見えない何かに、体力を吸い取られていくかのようだに。
自分の身体が、思い通りに動かない。純粋な恐怖に、胸が締め付けられていく。
「あっん、あっあっあっ」
身体が動かせなくとも、はちきれそうな圧迫感はどんどんと増してくる。視界が狭くなり、脂汗が視界の隅を横切った。
「ほら、鋼の。もっと可愛い声を聞かせてくれ」
「ひぃ、い」
「ハボ、もっと足を開かせてやれ」
「りょーかいです」
ぐわっと両脚をさらに大きく開かれ、さらに上の位置で固定される。
これでは、エドワードの大事なところが全て丸見えだった。あんまりな光景にエドワードは半狂乱になって暴れた。が、力の入らない身体ではどうすることもできず、ずり上がった腰をなんなく引きずり戻されてしまう。
「やっやあああ、たすけ゛、っぁ──ッ」
「ああ、この位置がいいな、膣圧も丁度いい」
「くっ、うぅ、ぬけ……にゅい、て、ひゃあ゛」
「何度も抜いているよ?」
「ひ、ひがう、入れ、なで、ひれなッ」
「それは難しいなあ、抜いたら入れなくてはいけないからね」
開いた隙間に身体をねじ込こまれ、深く覆い被さってきた男により一層深いところを虐められることになった。
「ひやああぁあ──ッ」
「ああ、やはり意識があったほうがいい声が出るな、そそられるよ……暫くは楽しめそうだ」
気持ちよさそうに呟かれた台詞に愕然とした。こんなに叫んでいるのに、抵抗しているのに、目の前にいる男は全く聞く耳を持ってくれない。エドワードの意思などまるで存在していないかのように。それどこか、膣内を好き勝手に味わいながら、エドワードの渾身の悲鳴すらも、飽いてきた食事にかけるスパイスであるかのように扱かってくる。
「まぐろも興奮しますけど、やっぱり活きのあるほうが美味しくなりますね」
──なんだ、これは。
「だからさっさと起こせと言ったのに、お前がしぶるからだ」
なんなんだ、これは。
「だって、やっぱり最初は生オナホっぽく味わうのがミソってもんだし」
「お前の考えは相変わらず謎だな……」
「アンタだって楽しそうに腰振ってるじゃないっすか!」
「男だからな。正直に言えばそろそろ飽きていた」
ぽんぽんと会話を掛け合い、笑い合う二人の大人が信じられなかった。
全てが、異常だった。
「こんなにいい声上げるってわかってたら俺だってはやく起こしてましたよ。なー大将」
「……っ」
視線をよこしてきた真っ青な瞳に硬直する。こんな状況であっても、ハボック少尉はいつもの軽さを崩さない。こんな恐ろしい行為をしているというのに、何も変わらない。得体のしれない深い瞳が尚更恐ろしく、エドワードは喉まで出かかった悲鳴をごくりと飲み込んだ。震えが、体や思考を飛び越え空気まで伝わっていく。それすらも、男たちは楽しんでいるようだった。
「あーらら、怖がっちゃってまあ」
「中はこんなに元気なんだがね」
肉の凶器にガツガツと膣癖をかき回されるたび、薄い腹が脈打つのが見えた。
おぞましい光景だ。目を逸らすことができないほどに。
「ひ……」
「凄いだろう?さすが12歳のヴァギナだ。私も初めは感動したよ」
「ぁ、う、そ、うそ」
「嘘じゃないさ、ほら、よく見ていなさい」
交接部がよく見えるようにか、大佐が気崩していたシャツをたくし上げた。筋肉質で厚い腹筋の下に、生い茂った黒い茂みがある。そこから生えた太い肉の枝が、赤く腫れあがった割れ目の真ん中にしっかり咥え込まれていた。
激しい動きが止まり、見せつけるようにゆっくりと腰を回される。ぬち……ぬち……と入口が盛り上がるたび、腹もぼこぼこと蠢く。
「こんなにたっぷり咥えて……引き抜くのも一苦労だ」
「うそ、だ、うそ」
男性器の先端が、自身の内部に埋め込まれているという事実が信じられなかった。だって、ギリギリまで引き抜かれた時に見えた大佐の男根はとても長いものだった。そんな凶器のような異物が、全て自分の性器の中に納まっているだなんて。そんな怖ろしいことが。
「うそ、うそ゛だ、い、いやあ、あ……!」
腹の中で蠢動する陰茎は、エドワードにとって化け物だった。
「今、どんな感じですか」
「まるで吸盤だな、しっとり吸い付いてくる。奥の部分の突起がうまい具合に先に絡みついてきて……久々にあたりだ」
「すげー、名器ですかね」
「ぁっあぁ゛ああ、うぁあん」
「そこまではいかん、高く評価しても中の中ぐらいだ。使い込んでいけば変わるかもしれんが」
「じゃあどんどん広げましょうよ。12歳ってかなりポイント高いし」
「まあな、未発達にしては弾力もそこそこあって……おっ、ここもなかなか」
「あ゛──ぁっ、いたい、ぃ゛っ、んひ」
「あーはやく入れてえ、あとどんぐらいで出ます?」
「もう少しかかる、まあまて」
「大佐は一回一回が長いんですってー」
「しっかり味わいたいじゃないか。初物は楽しまなくては」
無慈悲な会話の中で、時には遅く、時には早く、緩急をつけて抉られ続ける。じわじわと増してくる鈍痛と、背筋の筋が弾けるような冷たさ。ばこばこと肉を打ち付けられる激しさから逃れる術がない。目の前にある厚い体をどけようと必死に手を伸ばそうとしても少しも動かせない。大佐に、手首を抑え込まれているせいだ。手も足も自由にできない。今のエドワードは、目の前にいる男にとっての性欲処理道具そのものだった。
「ぬ、け、っぬい、ぬいてぇっ……!」
「抜いてあげるさ、終わったらね」
「め、て、やだああぁあ」
どうして、こんなことになっているんだ。
今日はエドワードが国家資格を得て、銀時計をマスタング大佐に与えられた日だ。
その後お祝いをするからとマスタング大佐を筆頭に彼らの部下に夕食に連れていかれ、子どもの自分だけでは到底入れないような綺麗な店にドキドキしながら、皆で囲む美味しい夕食と色んな味のジュースを飲みながら談笑を楽しんだ。
今だけリゼンブールに帰っている弟にもいつか食べさせてやりたいな、なんて思ったところまでははっきりと覚えている。しかし、それ以降の記憶が曖昧だった。
断片的に覚えているのは、気がついたらマスタング大佐とハボック少尉以外の皆がいなかったことだ。私達は帰りますが、エドワード君をきちんと宿まで送ってやってください、と誰かが言っていた気がする。そうだ、ホークアイ中尉だ。マスタング大佐の優秀な副官。綺麗で優しい人だ。任せたまえと大佐が笑っていたのも覚えている。
その後大佐とハボック少尉に店の奥の個室に連れていかれて、そこでもまた色んなものを飲んだ、気がする。宿に帰らなきゃ……と立とうとすれば、隣にいた大佐とハボックに席に戻され、ジュースをいっぱい注がれて。その頃には何を飲んでるのかもわからなくなっていたけど、二人に錬金術の才能を褒められて、自慢の部下になると大佐に言われて、ハボック少尉には大将って呼ばせてくれ、妹分ができたみたいだなと頭を乱雑に撫でられて。それがあまりにもこそばゆくて恥ずかしくて、うるせえなあなんて気にしてないふりをしながら沢山ジュースを煽った。得意気になって錬金術の話を沢山している間に、ものすごく眠くなったんだ。
確か、そのまま眠りなさい、大丈夫だからと大佐に頭や背を撫でられたはずだ。その後からはもう起き上がることもできなくなって、気づいたら誰かの大きな背中に揺られていた。
ひやりと寒い外気、店の外に出たんだなとなんとなく理解しながら、そのまま宿に連れてってくれるんだな、と温かい背中にしがみついた。うっすらとふやけた視界に映っていたのは黒髪だったから、きっと自分を背負ってくれていたのは大佐だ。
「どうした、もう飛んでしまったのか?」
「ひきゃっ、ッ」
窄まった中間部分をぶちゅんと潰されて、集まっていた記憶がまた散り散りになる。手繰り寄せたいのにできない。背中と台の隙間に忍びこんできた手に尻を鷲掴まれ、無理矢理天井に向かって股間を突き出させられる。より一層体重をかけられた。
「あっひ、むり、むりィッ」
みち、っとおぞましい音が下腹部から響いてきて、血の気が引く。
「落ち着きなさい、大丈夫だから。ほら、もう私の形になじんでる。一度入ってしまえばあとは楽だよ」
「やらぁ、やっ──たしゅ、けて、大佐、たいさぁ」
「こらこら、あまりワガママを言って困らせないでくれ。ここに入れないと私のが全部入らないんだ」
「いっ痛い、い゛ッ、めて、やらやらっ──」
「痛くない痛くない、ほらもっと腰をあげて」
適当に合図地を打たれ、入口付近を太い根本でかき分けられる。
ギリギリの狭さを縫いながら膣内が容赦のない力で破壊されていく。膣内の奥、のまたさらに奥を、とんとんと小突かれるだけで反射的に肺が詰まった。そこにまた入口があるなんて信じられない。し、入るわけがない。でも、大佐はそこに侵入しようとしている。無理だ、これ以上は進めない。もうそこで最奥だ、これ以上は腹が破れてしまう。
「、めて……ぇ、らめッ、やぶれ、やぶれる……きゃあああッ──」
ずんっと重い衝撃と共に、太い根本までもがエドワードの中に埋まった。ぶつっと走った鋭い痛みにたまらず呻く。視界が真っ白になった。意識が遠のく。詰まった肺かふっと呼気が押し出され、頭痛が一瞬だけ止んだ。耳の奥で、冷たい水がさらさらと流れた。
「う、んぐ……き、」
「きゃあ、か、随分と女の子らしい悲鳴を上げられるものだ」
「どこまで入りました?」
「たぶんここは子宮口かな。一番温かい」
「ここまでくると案外いけるもんですねー……あ、大佐」
「どうした」
「ちょっと膣口切れちゃったんじゃないですか?」
「む?ああ、本当だ」
「……ひ、ァ゛」
だんだんと、意識が戻ってくる。白かった視界に、薄っすらとだが色が戻る。ちょっと切れたなんてものじゃない。きっと裂けた。鋭い痛苦と、奥の奥が強制的に開かされた鈍痛が、じわじわと波のように上半身にまで広がっていく。繋がっている部分に集中している大人たちの視線でさらに痛みが増していくようだった。声を出すのもつらくて、唇を強く噛みしめる。けれども痛みをやり過ごすことはできなかった。
「う、く、うう」
「なるべく傷つけないよう入れたんだがな……まあ大丈夫だろう」
酷い圧迫感に息をすることすらもまともにできていないというのに、自分を見下ろす大人たちの表情からは、罪悪感の欠片も感じられない。大佐に至っては痛みに呻くエドワードなんて見えていないのか、それともどうでもいいのか、再び腰を揺らしてくる始末だ。
「なにせ、処女膜を破られても起きなかったんだからな、この子は」
囁かれた言葉を、ぼんやりと心の中で復唱する。しょじょまく。そうか、今大佐に犯されているということは、眠っている間に突き破られたのか。ずきんずきんと引き裂かれた苦痛に耐えている今でも精一杯なのに、意識のある時に処女膜を裂かれていたら、どれほどの激痛に襲われていたのだろう。
「酒を飲ませていた、甲斐があったな」
──霞がかっていた意識がしっかりと浮上していく。
大佐の背中に揺られていた時、ほぼ失いかけている意識の中で、大佐とハボックの愉快そうな笑い声を聞いていた記憶が蘇ってくる。
『起きませんねえ』
『当たり前だ、ありったけ飲ませたからな』
『最後まで寝ててくれれば後処理も楽でいいんすけど』
『何を言う、意識があったほうが楽しめるだろう』
『まあそこはその時になってからで。で、どこでやります?』
『使っていない私の個人部屋がある』
『おっいいっすね、ちなみに周りは?』
『閑静な住宅街、もちろん防音も効いている地下だ。うってつけだろう?』
『うわ~最高、ちなみに、最初は俺ですよね』
『バカを言え、上官が一番手だ』
『飲み会企画したの俺っすよ?』
『部下がやるのは当たり前だろう』
『普段こき使ってくるんだから今日ぐらい譲ってくださいよ~』
『却下だ』
そうだ、その時は思考が極限にまでバラバラで、会話の意味を考えることもできずにすっかり寝入ってしまったが、全ては仕組まれたことだったのだ。
ジュースだと思っていたものは酒だった。きっとエドワードにバレないように、徐々にアルコールを混ぜていったに違いない。頭が割れるように痛むのも、体が重いのも、ぐるぐると胃が回り気持ち悪いのも、全て酒のせいだ。マスタング大佐とハボック少尉は、最初からエドワードを犯すためにバカな自分をいい気分にさせ、ジュースだと偽り酒を飲ませ続けて、まともに動けなくなった所で連れ出して、そのままここへ……
「……、ぅ、うく」
自然と、嗚咽が零れてきた。泣くまいと心を律しても、あまりにも苦しい事実に喉の奥が震えてどうしようもなかった。
「ああ、泣かないでくれ鋼の、君にも気持ちよくなって貰いたいんだ……ほら」
「そうだぞ大将、そのうち慣れるから頑張れって。な?」
「う、は、う、ぅ゛うう」
ちゅぐっちゅぐっと穿つ腰を止めることなく、困ったように目元を拭ってくる大佐の指はとても暖かくて優しかった。間違いなく自分を労わってくれているはずの黒と青の瞳なのに、どんどんと追い込まれていく。
「な、で、」
この指で、エドワードに道を提示してくれた。
「なん、で……ひどぃ、なんで……」
「……なんでと聞かれても困るなあ。女の膣はね、男を咥え込むためにあるんだ」
銀時計を与えてくれた。
「だったら、はやく使ってやらないと勿体ないだろう?」
眠りなさいと頭や背を撫でてくれた。動けなくなったエドワードを、おぶってくれた。
「せっかく、入れたら気持ちよくなれる穴があるんだから」
そして、今、全てをねじ伏せて、エドワードを組み敷いている。
全て偽りだった。エドワードの錬金術の話を聞いてくれたのも、熱を持って語るエドワードと議論を交わしてくれたのも、全てエドワードを『使用』するための演技だったのだ。
「ふ、ぇう……えぇッあ゛」
「あーあ泣かせちゃった。大佐の言い方はきついんですよ。穴ってアンタ」
「最初にこれをオナホ扱いしたのはお前だろう」
「オナホと穴は違いますー」
「同じだ馬鹿者」
「違いますって、ほらさっさと出して譲ってください。長いんですってば」
「さっさと出してしまったらあまりにも可哀想だろう。こういうのはお互い気持ちよくがモットーだ……ほら、泣き止んでくれ鋼の、すぐによくしてあげるからね」
よくしてやる、という言葉通り、いやらしい手つきで腰を這いまわってきたのは大佐の左手だった。今更ながらにはっと気づく。ということは、エドワードの機械鎧の右手は自由のはずだ。
「……ッ!」
少しでも拘束が解ければ、錬金術で今直ぐにでもこの男たちを叩きのめすことができる。軍人相手と戦うのが難しくても、せめて逃げることぐらいは。今しかない。無我夢中で右手を突き出し、拘束されているであろう左手と輪を作る──つもりだった。
「……え?」
「ん?大将どうした、珍妙な動きして」
不思議なことに、肝心の右手が出てこなかった。何度動かそうとしても、だ。
「え、なん」
「……ああ!」
バタバタと右肩を振っているエドワードに合点がいったのか、大佐がさらりと笑った。
「錬金術を使われたら怖いからね、右腕は外させて貰ったんだ、すまないね」
「……は?」
「もちろんきちんと返してあげるから安心しなさい。私たちが君に飽きた後にね」
思考が一瞬停止した、大佐の台詞を理解し、おそるおそる右肩に視線をずらしてみる。
そこには、普段はついているはずの機械の右腕がなかった。
「……あ」
「たーいしょう、そんな悲壮な顔するなよ。お前の錬金術の才能を認めてるからこそ大佐は取ったんだぞ?期待されてるんだって、たぶん仕事が始まったらキリキリ働かされるぜ、俺よりも」
にっと小気味よく笑ったハボック少尉に、汗ばんだ前髪をぽんぽんとはたかれる。解放された片足がぶらりと落ちた。夕食の席で、妹分みたいだなと頭を乱雑に撫でられた時と同じ手つきだった。
「そうだなあ、今後はたっぷりこき使わせて貰うが──今はこちらを良くして貰いたいね」
「あうっ……あ……ひきゃッ」
「ほら、いいだろう?眠っていた君が気持ちよさそうに喘いでいた部分だ」
くちゅんっと深い箇所をぐるんと抉られ、たいらな胸に移動した指先に胸の先を摘ままれる。
「きゃっ、ぁッ、ああ、あん、っふ」
びんっと引っ張られた胸の尖りくを、ゆったりと内部をかき回す動きに合わせてくりくりと弄られる。初めての感覚のはずなのに、初めてのような気がしなかった。どうしてか、もっと触ってほしいと自然と腰がくねり始めてしまう。
「ゃっ、ぁあ、なに、なにこれッぇ」
「これが快感だ。君の膣の中も気持ちがよさそうに震えているよ。奥のひだがぴくぴくと当たってすごくいい……腰が止まらんな」
「やっやだッ、いじ、な、いじ、る、にやぁあっ」
「にゃあとか、大将ネコみたいだなー。ほら、もっと発情しろ」
未知の恐怖に身震いする。大佐の指にこねくり回されて、だんだんと胸先が硬くなっているのが自分でもわかった。舌なめずりをした大佐が見えて、あっと思った時には親指と人差し指でふに、と押し上げられたそこに顔が近づいていた。
ぺろり、桃色の頂点に舌を這わされ、甘い電流のような何かがが胸先から腰に伝わり、仰け反る。
「あ───ッ」
左胸の先にかぷりと噛みつかれ、れろれろとむしゃぶりつかれる。じゅうっと強く吸い上げられるたび、とてつもない痒さと疼きに尻の穴がきゅううっと締まっていく。脂汗とはまた違う汗が噴き出て、視界を汚し始めた。
「あっあっなめないで、やぁッ」
「ハボック、こっちもしゃぶってやれ」
「え、俺あんま小さい胸には興味ないんすけど」
「お前は本当に突っ込むことしか考えていないな」
「だって待ちくたびれてるんですもん」
「入れやすくするために協力しろ。せっかく開発したんだ。起きてる時の反応も気になるだろう?」
「まーそうっすね」
好き勝手なこと言いながら、あろうことかハボック少尉までもが空いている方の胸先に舌を伸ばしてくるのが見えた。たまらず叫ぶ。やめてくれと。左を舐められただけでこんなにもつらいのなら、右まで弄られてしまったら、きっと。
「やっや、いや、ら、やめ、てッ」
「こら動くなって、こっちもたっぷり弄ってやるから」
「だ、らめ!やらッぁ──」
「ほんと、まっ平」
抵抗空しく、ちゅううっと大きな口内に吸い込まれてしまった右の尖り。
「んひッ」
自分の両胸にそれぞれしゃぶりつく黒と金色の頭を、弾ける視界でとらえる。眩暈のしそうな光景にたまらず目を瞑る。しかし、いたぶりからは逃れることはできなかった。むしろ過敏になった感覚が余計に刺激されるだけだった。
「あっあッうああ、うやっ……」
厚くてザラザラとしたハボック少尉の舌は、先端が千切れるのではと怯えるぐらいの力で、先端を好き勝手に押し潰し、噛んでくる。柔軟性のある大佐のねちっこい舌は、乳輪と突起を絶え間なく舐めてくる。時々、零れる唾液と共に唇が離れるも、また口に吸い込まれ、同じことを繰り返される。
「あっあっや、こわい、こわいっ、ぁ、ぁ、あ!」
じゅくっじゅくっと胎内を穿り回してくる動きと合わせられると、咥えている入口や奥のほうが痛みとは違う熱さを持ち始めて苦しかった。ぐずぐずと音を立てて溶けていくような錯覚に陥る。逃れたい一心で腰を回しても、もっと擦れて痒くなる。ちゅるちゅる、ちゅぱちゅぱといやらしい水音が増していくにつれ、揺れる視界も煙を帯びたように白くなってくる。歯の震えが止まらない。悲鳴をあげることしか発散方法がない。大佐はこれを快楽と言ったが、これが快楽というのなら、なんて惨いものなのだろうか。心と身体が、狂ってしまう。
「ん、これはなかなか……誤算だったな」
「や、あ、あ、めて、ねが、あぁ……あ、ッ……、っぁう」
「乳首開発しといたかいがありましたねえ、母乳とか出てくんじゃねえのこれ、ん~」
「ひ、……あ、あ、あ吸わない、でぇえ」
「じゃあ噛んでやるよ」
「ぅ゛あッ、あ」
「元々感度がいいんだろうな、さて、あとどれだけ持つかな」
「あ──!あッ」
悶え狂うエドワードを面白い反応を返してくる玩具として捉えている二人の男は、腰を穿ち続けながらエドワードの両胸を味わった。エドワードが嬌声をあげ続けることに疲れ、虚ろな瞳でびくびくと飛び跳ねるだけになっても、尽きぬ飴玉のように延々としゃぶり続けることを止めなかった。
「ぁ、あ……あ……ぁつい、ちくび、あつい゛ぃ」
「んー、これでイクのはやっぱりまだ難しいですかね?」
「も、ぃたい、ぁあ、う゛、いぅうう……」
「いや、中の締め付けも強くなってきている。そろそろだな」
「お」
「……あっ、あっ──んッぁぅう……」
「ほら、いけ」
二つの頂きに噛みついた白い歯が僅かに離れ、がりりと大きく噛みつかれたのと、エドワードの視界が爆発したのはほぼ同時だった。
「…………いァぁああああッ──ッ、っ!」
自分の力では抑えきれないどろどろとした何かが、腹の奥から飛び出してきた。力を込めて押し込めても抑えることができない。ただ目の前が白かった。ごちゅんっと痙攣していた最奥を追いうちのように潰されて、さらに目の奥が弾ける。黒と青の瞳に淡々と見つめられていることも気にならない、気にする余裕がない。もう何も考えられなかった。薄暗い天上を見上げ、腰をガクガクと突き出して絶叫する。
「ひあぁああ──ッあ……!あぁ──、ッ」
自分の意思とは関係なく、下半身に蓄積されたまぐまが噴き出す。
大きな波が収まるまで、髪を振り乱し叫び続けることしかできなかった。
「は、はひ……は、ひ、ぃ」
「おーイってるイってる、凄い顔」
「乳首だけでイけるようになるとは、大したものだ」
「結構かかりましたけどね」
「ひ、ひぁああ、ふやああぁ……!」
「びくびくしちゃって、かーわい。ほら、もっとしなれ」
尖り切った胸先を指でぴいんとはじかれ、再び打ち寄せてくる波に襲われる。
「あ゛ッひゃあ、ッ、ァ」
「こらこら、遊んでやるな」
「だって、ちょっと触っただけでまだこんなにひくついてるんですよ?見てくださいよ、息だけでこんな」
「あッ、ひふっ、んひ……」
ふうっと息を吹きかけられただけなのに、唾液に濡れ冷たいはずの胸先の熱が増してこんなにも涎が垂れてしまう。体がもう、おかしくなってしまった。
「ヴァギナ以外遊べるところはないと思っていたが、イき顔もいい。なかなかに楽しめそうだ」
「うわ、酷い言い草」
「なんだ、お前は胸が小さいのもいける口だったのか」
「俺が好きなのはボインです。それは大佐じゃないんですか?」
「なんだって?」
「今日一日で、俺の中のロイ・マスタング大佐のロリコンの疑惑が深まりましたよ。なんだかんだ言いながらだいぶ可愛がってるし」
「バカを言え」
大佐はハボック少尉の一言にむっと肩眉をあげ、胸先に大い指を埋めぐりぐりと押し潰してきた。喉の奥で、悦楽が弾けた。
「あっんん、!」
「うんうん、怖いな、ロリコン大佐は嫌だよな、よしよし」
「ハボック、お前明日から減給だぞ」
「黙ります」
胸先の割れ目に食い込み、がりがりと引っ掻いてくる爪の痛みすらも、じんじんとした火照りに変わる。解かれた金色の髪が口の中に入ってきたが、口を閉じる気力もなかった。優しさを張りつけた顔が、エドワードを楽しそうに覗き込んで来た。
「こんなに感度がいいんだ。可愛がりたくもなるだろう」
「や、ぁ、だ、やめ、いた、や」
「痛い?そんなはずはないな。じゃなきゃここが、こんなにも濡れているはずがない」
「ぇ、ぁうああッ──!」
ずりゅりゅりゅん!と、なんの合図もなく、急に中に入っていたものを全て引き抜かれた。
「あ、ぃっ、あひ、あ……はひ」
「わかるかな?君が溢れさせたものが零れていくのが」
ぽっかりと空いた穴から零れた冷たい液体が臀部に垂れ、したたり落ちていくのが感覚でわかった。
「すごいな、こんなにひくついて。もう一度奥まで埋めてほしいと寂しがってる」
久方ぶりの解放だというのに、喜びはなかった。ただ杭を失った中が寒い。入口の形を確かめるように指でなぞられ、ぬるりと指が一本忍び込んできても痛みはなかった。くちくちと無遠慮に膣口に浅く弄られているというのに。ずっと指よりも大きなものが突き刺さっていたせいだろうか。むしろ弄られるだけで、鼻の奥に淫猥な匂いが広がって抜けていく。
「ほら、私の指についている透明なものが見えるかな?君の愛液だよ」
「し、らな……ぁっ、あ」
「知らないはずはないな、あんな盛大にイっておい……て」
ぴたり、と膣口に添えられた切っ先。やめろと静止する暇も与えて貰えず、肉の塊が再び激しい水音を立てて侵入してきた。周囲の肉を巻き添えにしながら、一気に奥まで。
「んゃ、きゃあぁあああっ──!」
「ああほら、入れるのもこんなにスムーズだ。奥もはやく搾り取りたいと鳴いてる……動くよ」
耳元で低く囁かれ、最悪の悪夢が始まった。
隙間から零れる粘着質な音を楽しむように、引いた腰を引き戻され、ゆっくりと抜かれては、また入れられる。繰り返していくうちに、だんだんと動きが早くなっていった。
大佐の荒い吐息と、ばちゅんばちゅんと空気と肉の弾ける音だけが、薄暗い部屋に響き渡る。ハボック少尉はもう余計なことは言わず、エドワードを抑えつけることに専念していた。自分の上で上下に揺れる黒髪をぼうっと見上げる。固定された機械鎧の足がきしきしと軋んで、宙を蹴る。けれども、きつく制されずとも抵抗などほぼできなくなっていた。うまく回らぬ舌で死ぬほど叫びすぎて喉が痛い上に、重かった身体はもう言うことを聞かなくなっている。それに、気分が悪い。内臓を絶え間なく押し上げられるだけでも苦しいのに、下手に自分から動けば喉奥にせり上がっているものを戻してしまいそうだった。好みのリズムで、挿入角度で、体制で、エドワードの中を擦り続ける大佐を、ただただ眺めることしかできない。
「いい……いいぞっ、……く、ああ……」
「あッ……はっ……ふぁっ、は、ん、ん……」
激しい摩擦で、体の中から焼け爛れてしまいそうだった。がくがくと壊れそうなほどに揺さぶられながら、大佐はエドワードの身体全てを燃やす気なのだろうかとぼんやりと考えた。
「っ、そろそろ、中に出させて貰おうかな……」
「あ、大佐、できれば8割くらい中に出してください。ちゃんと濡れてないと俺がキツいんで」
「言われずとも、全部出す」
「え、だって次は顔射にするって」
「気が変わった」
冷淡な会話に、ただ食らいつくされるだけだった思考がピクリと反応した。
中に出す、それはエドワードの膣内に射精するということだ。驚愕のあまり、心臓が凍りつく。それがどれだけ恐ろしいことなのか、この二人はわかっているのだろうか。いやわかってないのだろう、だって。
「っだ、中、はいや、いや……」
「ん?」
男性器から射精させられた精子は、卵子と受精し、子宮に着床する。行き着く先は妊娠だ。女である以上、中に出されてしまったら子どもができてしまう危険性がある。
「出す、な、中にはっ……たの、むっ」
必死に懇願するエドワードに、二人は不思議そうに顔を見合わせ、微笑を浮かべた。愚かなことを言いだすエドワードに、肩をすくめて。
「何を今さら」
「……ぇ」
「残念なことにね、鋼の」
大佐の指が、とんっとエドワードの腹の上をつついた。
ちょうど、大佐の陰茎の切っ先によって、盛り上がっているところを。
「すでに二回、出してしまっているんだよ、ここに」
「ちなみに俺もまだ二回」
「は?」
──エドワードはここにきて初めて、間の抜けた返答をしてしまった。
「なんだ、初めてだと思っていたのかね」
大佐の綺麗な微笑みが深くなるにつれ、足元の地面がどんどんと消えていく。
いま、この男達はなんと言った?既に、出している?エドワードの中に?
「君をここに連れてきてからもう2時間は過ぎている。中もこれだけ濡れて、痛みもさほど強くない、胸を弄られただけで、涎を垂らして簡単に絶頂を迎える。変だとは思わなかったのかな?それは、私とこいつが君が寝ている間に君の体をそれなりに味わって、ここに何発か出させて貰っているからだよ」
大佐の手のひらがエドワードの薄い腹部をゆっくりと撫でた。
理解の遅い生徒に教える、教師のように。
「計4回分」
──平坦な言葉にぞっとした。身の毛がよだった。うそだ、とはもう言えなかった。耳の奥が痛かった。優しい口調で、注ぎ込まれる台詞が針となって、突き刺さる。エドワードの退路が、次から次へと絶たれていく。いや、既に絶たれていた。
気が付かなかったのは、エドワードが子どもだったからだ。
「ちなみに、君の初めては私だよ」
「そうなんだよ、大佐が譲ってくれなくてさ」
「処女を抱いたのは初めてでね、いい経験になったよ、有難う鋼の」
これほど、心の籠っていない「有難う」は、聞いたことがない。
「まあ、初めはキツ過ぎて抜けたものではなかったがね」
「だから、俺が一番目って言ったじゃないですか」
「お前なんかのを最初に突っ込んだら二度と使い物にならなくなるだろう」
「俺褒められてます?」
「呆れているんだ」
「こ……、子ども」
「ん?」
「初潮、来て、るんだ、きて……だから、子どもが」
軽快に弾み始める会話を聞きたくなくて、茫然と呟く。声は震えていた。もはや独り言に近かった。空虚というものが体の隅々までを支配してきて、声を出すのも一苦労だった。
「へー!もう生理来てるのか、このちっこい体で?」
「なんだ、君は立派な女だったんだね」
「やっべ~、俺結構奥に出しちゃったかも」
「まあ来ているからと言って、今更一回も二回も三回もたいして変わらんだろう」
「できたらできたでしゃーないっすねえ」
「そうだなあ、もしもできていたら……どうするかは君が決めるといい、そこまで強制はしないさ」
「あ、そうだ。どっちの種が引っ付くか賭けます?」
「生命を賭けの対象にするな、おまえ性格悪いぞ」
「ばこばこ腰降ってるアンタにいわれたくねえんすけど」
もう、何も言えなかった。
通じない。これほどまでに、言葉が通じない。
身体の力が抜けていく。わかっていた。けれど、心のどこかでは、もしかしたらこれだけは避けてくれるんじゃないかと、ありもしない希望を抱いていた。
わかんないことがあったら俺に聞けよって、撫でてくれた手が大きかったから。
ずり落ちるなよと笑って、背負ってくれた広い背中がとても暖かかったから。
お祝いしてくれたことに感謝をしてたから。エドワードを間に挟んで、3人並んで、何時間も会話ができたことが、嬉しかったから。
いい気分になって、身振り手振りで学んできた錬金術を得意げになって話していた自分が恥ずかしい。笑顔で受け答え、冗談を言い合ってくれる大人たちに有頂天になって。
二人の大人に、どのタイミングで引きずり堕とそうかと虎視眈々と狙われていたことに、気づかなかったなんて。
「おれ、」
「うん?」
「おれ、アンタたちを、信じて……」
言葉が続かない。今この状況になって自分の愚かさをやっと理解した。
「ああ、だからこそ、ここに連れ込めた」
自分がどれほど、相手の上辺しか見れていない子どもであったのかを身をもって叩きつけられて。
遅い、遅すぎた。
「大将が世間知らずのいい子で助かったな」
「信頼してくれてありがとう鋼の、嬉しいよ」
なぜ、今まで気が付かなかったのか。
この男の、男たちの、壊れた面に。
「う……う、」
「ほら泣かないで鋼の、可愛い顔が台無しだ、笑って」
「そうそう、しんどい時にこそ笑顔が一番だぞ」
「あ……ぁ、あ、ああ、ああああ!」
ラストスパートを目指し始めた大佐に絶望する。
悔しい、悲しい、寂しい、空しい、全ての感情が合わさって、心が無になっていく。
「やァぁあ、ぁあ」
「ん、とはいっても、泣き顔も、そそられる……」
「中の中なんでしょ?」
「はは、今は中の上あたりに昇格だ」
「調子のいいこと言っちゃって」
「あ、っ、ぁ……」
「奥が収縮して……狭くて深い」
恍惚とした表情で腰を振っている大佐は、喜びに満ちていた。
いっそ純粋だった。悪意も罪悪感も、彼らからは遠い所にあった。
「、出るぞ……鋼の、奥に、……く、ぅ」
「んッ、ぶ、~~~、~~~、ッ、ッ……」
激しい水音と共に最後に大きく一突きされて、体がずり上がる。それを追いかけるようにまた一突き、二突き、三突き。強く目を瞑り、足指と背を丸め衝撃に耐える。大佐が体を丸め腰を痙攣させた。骨が軋むほど強く抱きしめられる。胎内の奥に冷たい何かを叩きつけられる感覚。破れてしまうと思った。それほどまでに勢いよく、中に射精されている。びくんびくんと内部で蠢く男根の動きに合わせて、びたびたと拾い内壁が汚されていく。お腹が苦しい。大佐の荒い息が顔中に降りかかる。奥で荒れ狂うそれは長く続いた。エドワードの悲鳴は、覆いかぶさってきた大佐の肌に吸い込まれ空気に震えることはなかった。
「はあ、すごいぞ、まだ出るな……出すぞ、……ぅ」
ねちゃねちゃと腰を回され、最後の一滴まで絞りだされる。全て出し終えたのか、強張っていた大佐の体がゆったりと弛緩した。はあぁ、と大きくて熱いため息が耳元で聞こえ、大人一人分の体重がずしんとのしかかってくる。ぬかるんだ汗の匂いが鼻腔に満ちて、嘔吐感が増した。射精感に震えていた長い睫毛がうっすらと開かれ、潤んだ黒い瞳と目が合う。
「……泣き喚かないでよくできたね、偉いぞ鋼の。いい子だ」
大佐の手に、優しく頭を撫でられる。ちゅっと額に落とされたのは口づけだった。ぽたりと大佐の頬から落ちてきた汗が口に入って、鼻の奥がツンとした。
「三発目だってのに、大量ですね」
「私の息子を舐めるな、あと2回はいけるぞ」
「連続とか止めてくださいよ?ほら、出したらさっさと変わってください」
「まて、抜くまでが醍醐味だ、そうだろう?」
「……ああ、あれっすね」
奥まで突き刺さっていたそれがずるずると引き抜かれ、一番大きな頭の部分が、ちゅぷんっと弾けるような音を立てて抜けた。
「あぅ……ッ」
大佐の陰茎の先と繋がっていた透明な糸が、つうと伝って水の玉となり、落ちる。
「おっ」
「やっと中のが出てきたな」
「すげえ、夢だったんですよねこれ見るの」
ハボック少尉の興奮気味な声に、ぐらぐらと揺れていた視線を降ろす。力を込めたわけでもないのに、ひくひくと震える空洞のような割れ目からとろりと何かが零れているのが見えた。つうっと下に伸びた、冷たくて白い線。離れている鼻先にまで、青臭さが広がってくる。ああ、中に出されてしまった。正確には、既に出されていたんだけれども。受け入れたくない事実に、ひくりと喉が震える。涙が溢れて止まらなかった。
「さ、選手交代だ」
「もうちんこパンパンですよ。一回抜いただけじゃ終わんねえかも」
「お前、次はどの体位の予定だ」
「まだ正常位で。このほうが無理矢理感あって興奮するし……腕抑えててください」
「ああ」
「やら……やぁ……」
ぱたぱたと暴れるエドワードを、二人の男は楽しそうに再び押さえつけた。気が付くと、エドワードの目の前にいたのはハボック少尉だった。
「たいしょー、次は俺を気持ちよくしてくれな」
精悍な顔付きの青年軍人の身体に怯える。彼は大佐と違ってシャツも脱いでいた。
広い肩幅に、引き締まった筋肉。濃い金色の茂みの下、ジーンズに収まっているであろうそれは目に見えて張り詰めていた。その状態でも十分に大きく見える。
「やだ……も、や……たいさ、ぁ」
「こらこら逃げるな、台から落ちてしまうぞ」
恐怖のあまり足を閉じようとしていることがバレて、大佐に後ろから股を開かされる。ハボック少尉は鼻歌を奏でながら、上機嫌でベルトを外し、前を寛げていた。そこから勢いよく飛び出してきたのは、エドワードが一瞬で声を失うほどの大きさの男根だった。エドワードの腕ぐらいはあるだろうか、そんなものを入れられたら、きっと一瞬で壊される。
「っしょっと」
腿を割り裂かれ、ぺたりと、白い腿にくっつけられたハボック少尉の男根のグロテスクさに眩暈がした。どくどくと青い血管が脈打ち、膨張した中央部は中に臓器でも入っているのではないかと疑ってしまいそうなほどの存在感だ。大佐とはまた違う形の、恐怖そのもの。赤く膨らんだ自身の膣口と見比べても、その大きさは歴然としていた。
「ない、はいんない、から……」
震える手で股を隠そうとしてもどかされる。何度も何度も。3回目には苛立った手に叩き落とされた。
「ぃ゛ッ」
「大丈夫だって、2回は入ったんだから。キツキツだったけど」
「寝ている状態でも、君は痛がって泣いていたがな」
「ひっ」
「ちょっと大佐、あんま怖がらせないでくださいよ。締まり過ぎたらどうしてくれるんですか」
「事実だろう」
ぴと、と、自分の入り口の2倍はありそうな切っ先を添えられ、ドワードの濡れそぼった膣口によく馴染むように、ぬちゅ、ぬちゅ、とゆっくりと擦りつけられる。ガタガタと、機械の左脚が壊れたように痙攣しているのが見えた。未来の自分かもしれない。それがよけに恐怖を煽って、だんだんと息がひゅうひゅうとか細くなっていく。今にも止まってしまいそうだ。いっそのこと、止まってしまえれば。
「あ……ぁ、あ……」
でもきっと、エドワードの息が止まってもこの二人は止めてくれないのだろう。
「……めて、くれ……許して、うぅ」
もう恥も外聞もなかった。プライドなんてとうに霧散した。ただただ、意味のない許しを乞う。恐ろしいと泣くこと以外に、今のエドワードにできることはそれくらいしかなかった。
「んー、許すもなにも、大将は別に悪いことなんもしてねえよ?」
「ただ私たちが入れたいから使っているだけだ、気にするな」
「そうそう、安心しろって、な?一日もすれば俺たちが飽きるから」
ぶちゅっと、非情な音を立てて、鉄の棒のような切っ先がエドワードの膣口に僅かに埋め込まれた。
「ぃ゛ッ」
腰を回して、挿入位置を確認される。瞼がぶるぶると痙攣する。唇を、血が滲むまで噛みしめる。どこにも逃げ場はなかった。ただ今は絶望の時を、震えながら待つ。
「2回とも、結局全部は入んなくてさ、最後は手でシコって、たいしょーの中に出したんだ」
「しょう、い」
「でももう6回目だし、さすがに全部入るよなぁ」
「こわい、こわ、い」
数時間前にエドワードの頭を乱雑に撫で繰り回してくれた指に、ぐにっと狭い膣口を広げられる。裏返った皮は真っ赤に膿んでいて、エドワードは、自分の内癖が充血していたことを初めて知った。
「じゃ、失礼しまーす」
軽薄な、たった一言を合図に。
エドワードの身体はバラバラに壊された。